貸金業規制法 金融庁ガイドライン
このページでは規制法の重要な部分を抜粋し掲載する、特に17条と18条は『みなし弁済規定』適用の条件であり17条と18条の一つでも守られなければ、みなし弁済は認められない、不当利得返還訴訟などでは業者が、みなし弁済規定を主張し『引き直し』の抗弁をする事も多いが17条と18条の全てを満足しているかが焦点となる、18条の2.3.4が完璧に記載されていない場合もあり抗弁を切崩す材料となる
みなし弁済規定
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貸金業規制法.抜粋
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13条.過剰貸付の禁止
貸金業者は顧客又は保証人の資力又は信用、借り入れ状況、返済計画等を調査し、返済能力を超えると認められる貸付けをしてはならない
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15条.16条.広告
15条.貸金業者の広告は、貸付け利率を表示しなければならない
16条.貸金業者の広告は、利率や貸付条件が事実と違う表示や、実際より有利であると誤認させる表示をしてはならない
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17条.契約書面の交付
貸金業者は次の事項を記載した契約書を相手方に交付しなければならない
1.貸金業者の名称、及び住所
2.契約年月日
3貸付けの金額
4.貸付けの利率
5.返済の方式
6.返済期間及び返済回数
7.延滞金、違約金に関する定めがあるときは、その内容
8.省略
9.他、政令で定める事項
貸金業者は保証人契約をする時、次の事項を記載した書面を保証人に交付しなければならない
1.貸金業者の商号、名称又は氏名及び住所
2.保証期間
3.保証金額
4.保証の範囲に関する事項で内閣府令で定めるもの
5.保証人が主たる債務者と連帯して債務を負担するときは、その旨
6.省略
7.他、政令で定める事項
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18条.受取証書の交付
貸金業者は弁済を受けた時、その都度、直ちに、次の事項を記載した書面を交付しなければならない
1.貸金業者の商号、名称又は氏名及び住所
2.契約年月日
3.貸付けの金額
4.受領金額及びその利息、賠償金又は元本への充当額
5.受領年月日
6.他、政令で定める事項
返済を銀行口座で払込した場合は、債権者から受領書発行請求があった場合に限り適用する
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20条.白紙委任状の禁止
債務者又は保証人から、債務不履行の場合に直ちに強制執行を受ける事を記載した公正証書作成の委任状を取得する場合、貸付け金額、利率を記載していない委任状を取得してはならない
みなし弁済規定
みなし弁済規定とは『一定の条件の元で利息制限法を越えた利息を取っても良い』という法律である
利息制限法で金融業者の貸出利息の上限は年15〜20%とされている
利息制限法
しかし消費者金融は利息制限法に定められた金利を越える年25〜29.2%の金利を取っている、これが認められるのは貸金業規制法43条『みなし弁済規定』による
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貸金業規制法43条
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債務者が法廷利息を超える利息を支払った場合でも、一定の条件の元で超過部分の支払いは利息の弁済とみなす
上記43条の規定により貸金業者は利息制限法を越える利息を取っているのだ
43条に定める一定の条件とは
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1.登録認定を受けた貸金業者との貸借契約に基ずいた返済である事
2.債務者が利息を「任意」で支払う事
3.貸金業規制法17条の所定の書面を交付している事、及び18条の受取証書を交付する事
17条.18条
つまり下記の場合『みなし弁済規定』は適用されない
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1.登録認定の貸金業者でない者からの借入
2.違法な取立による返済や、親、兄弟等による返済などの『任意』でない返済
3.所定事項記載の契約書を債務者に交付しない、又返済しても所定事項の記載された領収書等を交付しない
従って消費者金融の ATMにより借入した場合や ATMによる返済は『みなし弁済規定』が適用されないと考えられる、また適用されない判例がある
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平成9年2月21日東京地裁判決—判例時報一 624号 116頁
現金自動貸付機 ATMによる貸付を受けた人が ATMによる返済をした場合、利息や損害金を詳しく知らないで支払を完了し、機械から出てくる書面により、後で利息の充当を知るであるから、貸金業法43条に定める利息等としての任意の支払とは言えない
銀行振込みによる返済では受領書の発行請求がされた場合、直ちに送達されない場合『みなし弁済規定』の適用に問題がある
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特定調停や債務額確定後訴訟、不当利得返還訴訟、等では『引き直し計算』し、みなし弁済規定は適用されない事となり得る、
引き直し計算
不当利得返還請求訴訟で利子の過払を返してもらいたい場合や債務不存在訴訟、債務額確定訴訟、等では債権者が「みなし弁済規定」を抗弁の理由とし「みなし弁済規定」の是非が争われる事がある